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「呆け」の薦め

 母親は本年は「米寿」。
 「米」という字は「八十八」だからなんだそうで、ついでに「百」から「一」、つまり「横棒一本」取ったら「白」になるから、「九十九歳」を「白寿」というのだそうです。
 初めてこの話を聞いた時は、「なるほど、昔の人は面白いことを言うもんだなぁ」など、感心をしたり、「駄洒落だよねぇ」などと笑っていたりしましたが、母親には「その歳」になるまで、元気にいてもらいたいと思うようになりました。

 そのまたついでに「古希」と「喜寿」ですが、

〔杜甫「曲江詩」中の「人生七十古来稀」の句から〕七〇歳をいう。

〔「喜」の字の草体が「七十七」と分解できるところから〕数え年の七七歳。

 母親も歳相応に呆けてきていますし、体もあちこち「痛い、痛いッ!」ということらしいですが、それなりに元気ではあります。

 私の方も相当呆けがまわってきて、例えば、吉田智也さんの通信に、堀田義衛さんの「海鳴りの底から」の話が出ていたりしまして、ふと気付くに、確かに随分以前、それを読み、強く感動した記憶があるのに、一体何の話だったか皆目思い出せなかったりしますね。

 考えていたのは、「呆けてきて何でもかんでも忘れてしまうのは、はた迷惑には違いないけれど、実に『精神衛生上』良いことなのではなかろうか」ということで、母親も私も随分体に「ガタ」は来ているけれども、「大病」を病まないのです。

 「忘れてはいけない大切なこと」はある筈ですが、「生きて闘う」ことが一番なわけで、積極的に「呆けること」をお薦めしたいと思います。

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